ある日、弊社に勤めて25年になる平田常務が
私に言ったのです
<僕たち美術品も知っていて、骨董品も鑑定出来てこのまま骨董市場の発句だけ切って生きて行くんですかね?社長、そんな人生ってどうなのでしょうか?会社の能力や実力や情報力とか色々言うけど、本当に持て余してると思います。能力があるのだったらもっと地域社会に貢献出来て、色々な人に喜んでもらえる仕事がしたいです>
(発句とは美術品市場で出品商品のスタート金額を競り人が発すること)
正直、10年以上前から平田常務とは結構いろいろな話をしていて
この美術品業界を変えたい
この保守的で旧来のシステムが蔓延している市場というものを
アップデートできないかと常々話しあっていたのだった
だが、人々の欲というのは本当に際限がなく深いもので
それを燃料にしている市場というのは非常に多く
強烈なマジョリティーなのだ
それを改革したいと一念発起したのがちょうど3年前だ
何を変えるのか?
どこを変えるのか?
誰を変えるのか?
自問自答を繰り返した結果
僕たちが出した答えは<自分自身を変えること>でした
もう他者とか他社とかどうでもいい
自分たち自身の脳内や意識が旧来のシステムに侵されているのに気づく
新しい市場像とは
新しい美術品との接しかたとは?
まさに自分自身がどうしたいのか
そこから導き出したのが欲得から完全に解放された
<利他の精神>でした
市場とは
人と人
物と物を
つなぐ場所であり
当然の如く沢山の人が行き交う
私たちが提供すべき市場
理想とする市場とは
すなわちプラットフォームとは
自分だけが儲けたいという思想から
完全に解脱する必要があったのです
まさに、その市場像に向かって今邁進する中
倉敷美術品入札会のアイデアが出てくる
最初から大きなものを狙っていくのではなく
本当に岡山は倉敷の地域
強いては沢山の人々に長く愛される
そんな開かれたオークションをしたい
100年前の美術品を100年後に届けること
それを僕達が死んだ後にでも
継続して営んでくれていたら
本当に夢のある話だ
100年後の事は想像はできるが
自分では見ることが出来ない
最初の一人の出品者と
最初の一人の入札者を
つなげる事が出来たのだったら
それは100年後への最大のメッセージを
僕たちは残した事になる
美術品は所有者の移転を繰り返すが
やはりそこには美術商がいて
それを仲介する人がいて
陸上のリレーさながら
その美術品というバトンを
次の世代へと安全に潤滑につなげる
高麗堂はそんな想像力を持って
倉敷美術品入札会を人々に提案いたします。
100年前の美術品を100年後に届ける
そんな事が出来たら夢があるなと
心から思っている次第であります。
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